こんにちは。今回はTOMOOさんの曲『あわいに』の歌詞を解釈していこうと思います。
『あわいに』はTVドラマ「ソロ活女子のススメ Season4」のOP曲として書き下ろされた曲です。
ドラマ中で主人公がひとりで色々なことに挑戦し、色々な人と関わっていく様子をモチーフにした楽曲となっています。
OP曲としてふさわしい明るい曲調でありながら、どこか暗い印象も感じるような不思議な曲に感じました。
背中を押してくれるファイトソングというよりは、今の自分を認めてくれるような、肯定してくれるような柔らかい曲のように私は思います。
そんな『あわいに』の比喩表現などにに込められたメッセージをこれから私なりに解釈していこうと思います。
では早速行きましょう!
曲名『あわいに』
まずこの曲で疑問に思うのが曲名の『あわいに』という単語なのではないでしょうか。
あわいにというのは古語で、漢字で書くと「間に」と表記できます。
つまりこの曲は、人と人やモノとモノの間について歌った曲になっているということです。
あえて現代語ではなく古語にすることで、間という単語とはまた少し違うニュアンス・響きを感じられますよね。
古語から曲名を持ってくるなんて、この時点でTOMOOさんの凄さがうかがえます笑
では曲名についてはここまでにして、歌詞の解釈に移っていきましょう!
1番Aメロ
伸びをして開いた茶葉が湯気と踊るように
ほどけたら 思い出す 思うままの歩き方を
TOMOO, 『あわいに』より
この曲全体を聴いてもらうと分かるかもしれないのですが、この曲はおそらく春をテーマに作られた曲となっています。
リリース日も2024.4.3でまさに新生活が始まるタイミングに合わせてリリースされています。
そして、このAメロではなれない新生活で緊張した状態を描写しているのではないでしょうか。
新しい生活になれなくて、苦労してしまうという経験は誰しもあると思います。
こんな自分で大丈夫かな?自分には無理かもしれない…と落ち込んでしまうこともよくありますよね。
でもそんなときも大丈夫。「ほどけたら思うままの歩き方を」思い出せる。
今はただ慣れていなくて大変なだけ。慣れてくれば思うままに動けるようになるよ!というメッセージを感じます。
そしてこのメッセージを、茶葉が広がっていく様子でたとえるのがまた素敵ですよね。
茶葉は急に開いたりせず、ゆっくりと広がっていきます。
そんな茶葉のように、自分のペースを取り戻すのはゆっくりで大丈夫だよ、とTOMOOさんが伝えているようにも感じられるような表現となっているようにも感じます。
1番Bメロ
地図とは違う道も地図通りの道でも
小さな景色を拾って集めて
それは塗り絵みたいに 街に色が
TOMOO, 『あわいに』より
個人的には『あわいに』の中でもとくに好きな歌詞の箇所です。歌詞の深さ、そして解釈の自由さが際立っている部分だと思います。
「地図とは違う道も地図通りの道でも」という表現は、タイアップ先のソロ活女子のススメを意識した表現だと思います。
時には予定していなかった場所に行ってみたりしてそこで新たな発見をすることがある。そんな様子を「小さな景色を拾って集めて」「街に色が」ついていくという情景が思い浮かぶような言葉で描いているのが素敵ですよね。
色々なことを経験していくとどんどん生活が楽しくなる様子を、街が色づいていくという比喩表現で表しているのがTOMOOさんの描写力の高さを感じられます。
そしてこれは旅やソロ活にとどまらず、色んな場面に当てはめられる歌詞だと思います。
例えば仕事で当てはめてみると、地図とは違う道というのは失敗を、地図通りの道は成功を指すようにも捉えられます。
人間なので、時には地図通りではなく踏み外して失敗することもありますよね。そんな道を踏み外した時でも、その失敗が経験となって「街に色が」増えていくかもしれません。
失敗は成功のもとということわざはありますが、そこまで直接的ではなく比喩を用いてふんわりと失敗を認めてくれているような歌詞にも感じられるように思います。
このように、このBメロはかなり比喩的な歌詞なので、逆に言えば想像する「余地」がたくさんある部分だと思います。
ぜひこの捉え方にこだわらず、皆さんそれぞれの解釈で楽しんでもらいたいです。
1番サビ
あ、今吹いた 風はさみしさより わたしの形を軽やかになぞる筆
ああ、まばたいた 先に誰かがいる
楽しくなる余地ばかりの世界で
TOMOO, 『あわいに』より
前半
いよいよサビに入っていきます!
サビはメッセージがたくさん込められた部分になっています!
まずは前半部分の「風はさみしさよりわたしの形をなぞる筆」。
新生活や環境の変化で、心細くなったりさみしくなったりすることもありますよね。
吹いてきた風がさみしさをより増長させるような気持ちになってしまうかもしれません。
でも視点を変えたらそんなことはないかもしれないのです。
さみしさを感じるような風も、わたしの形を軽やかになぞっていく筆のようにわたしの人生に色を付けてくれるものかもしれない。
先ほども遠回りが経験になるといった解釈をしましたが、サビもそれと本質的には同じように感じます。
捉え方を変えれば、マイナスに見えるものもプラスになるかもしれない。
そんなことを風を筆にたとえることで表現しようとしたのではないでしょうか。
後半
そして後半部分。
まず耳に残ると思うのは、楽しくなる「余地」という言葉ではないでしょうか?
余地という言葉をここまでポジティブなニュアンスで使うことができるのか!と驚いた記憶があります。
余地と聞くと「交渉の余地がある」とか「同情の余地はない」といったようにどちらかというとニュートラルかマイナスな文脈で使われるイメージがあります。
ただ、そのイメージを払拭してこの『あわいに』では余地という言葉を、何度もポジティブな意味でTOMOOさんは使用しています。
改めてTOMOOさんのワードセンスに驚かされるばかりです。
いくらさみしいときでも、それは視点を変えれば誰かと会えるチャンス、楽しくなる合図だ!というニュアンスを「楽しくなる余地」という新鮮な表現方法で表されていたのが1番サビでした。
2番Aメロ
混ぜこぜの花模様 生まれも季節も違う花
一枚の布の中 バラバラどうしで美しい
TOMOO, 『あわいに』より
2番ではまた違ったテーマで歌詞が綴られています。
1番ではソロ活女子のススメに合わせた、旅や出会いといった内容の歌詞でしたが、2番は花模様や花を題材にして歌っています。
「生まれも季節も違う花」が「バラバラどうしで美しい」という歌詞はハッとしますよね。
花模様は生まれも季節も違う花がたくさんあるからこそ美しいですよね。一種類の花だけの模様より、色んな種類があった方が綺麗に感じられると思います。
そしてこれは人にも当てはまると思います。
花模様の花のように、人それぞれ生まれや季節、さらには性格も考え方も違います。
でもそれも、バラバラどうしのほうが美しく、楽しいのではないでしょうか?
花模様の描写から、多様性の受容という現代社会の一つの議題にもつながるメッセージを感じます。
直接的な描写がないので考えすぎかもしれませんが、簡単な描写に見えて実は深いメッセージが隠されているのがこの歌詞なのではないかと思います。
2番Bメロ
心地いい色や形、喜びの温度も
いくつもあるけど根っこは似てたり
なら幸せの種は それぞれに
TOMOO, 『あわいに』より
Aメロに続いて多様性についてBメロも歌われています。
「心地いい色や形、喜びの温度も いくつもあるけど根っこは似てたり」この歌詞は天才すぎます!(笑)
花によって開花する温度や色は違いますよね。
でも同じ植物なことには変わりないので、根っこは似ていますよね。
つまり一見全く違うようでも実は共通の部分があるのです。
これは人間も同じ。
一見するとそりが合わなそうだったり、好みが違ったりして関わりたくない人もいるかもしれないです。
でもじつは、全く違うように思えて共通する部分があるかもしれません。
最初の印象だけで関わらなくなるのはもったいなくないでしょうか?せっかく仲良くなる「余地」が残されているかもしれないのに、一目で決めてしまうのはもったいないですよね。
こんなメッセージがこの歌詞には隠れているような気がします。
2番サビ
あ、遠くで 覗いてた昨日は “ちがい”も”おなじ”も まるで気づかなくてさ
ああ、近づいて またやさしさを知る
仲良くなる余地ばかりの世界で
TOMOO, 『あわいに』より
「遠くで覗いてた昨日は 違いも同じも気づかなくてさ」なんて心理を突いた言葉なんでしょうか!
あまり仲良くなれなさそうだな、と思った人が話してみたら意外にも楽しくて仲良くなれたなんてこと良くありませんか?
遠くで人を見ている分には、何が本当で何が間違っているか、どんな人かどうかなんてわかりません。「近づいて」こそ「やさしさ」に触れることができるのです。
このように考えると、最後の「仲良くなれる余地ばかりの世界」という表現にも納得がいくと思います。
初めて会う人ばかりの新生活では色々不安があると思いますが、実際には仲良くなる余地ばかりです。
新しい環境でもがいている人の背中をそっと押すような歌詞になっていますね!
そしてもう一つ2番サビで注目してほしいのがメロディーです。
よく聴いてみると、微妙に1番と音程やリズムが異なっています。
例えば1番の「あ、今吹いた」と2番の「あ、遠くで」のリズムが違っています。
よく聞かないと分からないかもですが、おそらく意図があってリズムを変えているのだと思います。
TOMOOさんは歌詞に重きを置いて楽曲制作をされるので、もしかしたら1番のサビのメロディーを使いまわすよりもより効果的に歌詞を伝えられるメロディーに少し変更を加えたのかもしれません。
細かくはわかりませんが、このようなちょっとした工夫が色々なところに散りばめられているのもこの曲のそしてTOMOOさんの魅力です!
ぜひ1番とも比較して聴いてみてください!
Dメロ
またねも一期一会も
あわいに 浮かんだ 街明かりのように
TOMOO, 『あわいに』より
このDメロではこの楽曲のメッセージが凝縮されているような気がします。
ここまでこの楽曲では、人との出会いや別れには楽しくなる余地ばかりなんだといった内容が歌われてきました。
「またねも一期一会も」というのは人との出会い、そして別れのことでしょう。
このような人との出会いや別れは「あわいに浮かんだ街明かりのように」。
TOMOOさんはこの楽曲を作るにあたって「あわい」という単語に様々な意味を込めていたのだと思われます。
古語を訳せば「間」となりますが、現代でいう「間」とは少し違った概念だと思います。
人と人との間にある空間でもあり、かつ重なり合う部分である、そんなイメージで作ったとYoutubeで話していました。(あわいに Behind The Scenesより)
ただ、この部分に関してはメッセージが深すぎて私も明確な解釈がまだまとまっていません。
TOMOOさんのことばも踏まえて、みなさん自身が自由に「あわい」という単語のニュアンスを考えてこの部分をぜひ解釈してもらいたいです。
おそらくいろいろな視点から解釈ができると思います。
解釈する余地を残しておきますね(笑)!
ラスサビ
あ、今吹いた 風はさみしさより わたしの形を軽やかになぞる筆
ああ、まばたいた 先に誰かがいる 味わう余地ばかりのこの世界で
楽しくなる余地ばかりだ 今から
TOMOO, 『あわいに』より
ラスサビは1番サビの繰り返しになっています。
ちょっと異なっているのは最後の部分。
「味わう余地ばかりのこの世界で」&「楽しくなる余地ばかりだ」
今まで「楽しくなる余地」そして「仲良くなる余地」と出てきましたが、ここで3つ目の余地が出てきました。
味わうというワードには、上手くいかないことも味わっていく余地があると思えば大丈夫!といったメッセージを感じることができるようにも思えます。
新しいことを始めればもちろん上手くいかないこともありますが、それも含めて肯定してくれるこの曲の包容力の高さはすごいですね!
TOMOOとは
2022年にデビューしたシンガーソングライターのTOMOOさんの紹介を最後に少しだけ。
東京都出身 / シンガーソングライター
6歳よりピアノを始める。 のちに、聴いたことがない楽曲の歌詞に自分で即興のメロディをつけ歌って遊んでいたことなどをきっかけに、作曲に興味を持つようになる。
中学に入りオリジナル曲の制作を開始。その後本格的に音楽活動をスタートさせる。
2022年8月3日、PONYCANYON/IRORI RecordsよりMajor 1st Digital Single「オセロ」をリリース。
2023年9月27日、1st Album “TWO MOON”をリリース。
同年11月よりTOMOO LIVE TOUR 2023-2024 “TWO MOON”を開催。
(TOMOO公式サイトより)
TOMOOさんは比喩や対比を用いた文学のような美しい歌詞と、力強いアルトボイスが魅力的なアーティストさんです。
代表曲の一つであるインディーズ時代の曲「Ginger」はYoutubeで300万再生を「Super Ball」は450万再生超えています。
2024年始の「関ジャム完全燃SHOW プロが選ぶ2023年のマイベスト10曲」では2位に「Grapefruit Moon」、1位に今回ご紹介する「Super Ball」がダブルで選出され、以降さらに人気が増してきています。
今後J-POPの筆頭を担っていけるような、大注目のアーティストです!!
ここからブレイクすること間違いなしなアーティストです!
「あわいに」新しいことを始める人にピッタリの一曲
この記事ではTOMOOさんの『あわいに』の歌詞を考察してきました。
この曲は情景描写からメッセージを読み取る曲なので、もしかしたら解釈しきれていない部分もあるかもしれません…
当記事がぜひリスナーみなさんがそれぞれの解釈をする手助けになればいいなと思っています。
読んでいただきありがとうございました!!
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