今回は、Official髭男dismの『Same Blue』という曲について書いていこうと思います!
2024年に復活を果たしたヒゲダンが作る新曲です!アニメ「アオのハコ」というアニメのOP主題歌として書き下ろされた楽曲となっています。
この曲は転調がたくさん起こっていたり、歌のスピード感が速かったり、変拍子になっていたりと様々な技巧が凝らされていますが、その中でも歌詞に注目してこの曲を読み解いていこうと思います。
私なりに精一杯解釈してみたので、良かったら最後まで読んでいっていただけると嬉しいです!
1番Aメロ
気持ちの整理がつかないままの朝に 散らかったそれを鞄に詰め込んだ
やっぱり僕は あなたの前の僕は 渡したい言葉なんて渡せないまま
Official髭男dism, 『Same Blue』より
この曲、1番の初めからもわかるように青春を感じられる恋愛ソングとなっています。
ヒゲダンが恋愛ソングを出すのはかなり久々のように感じます。
そんな「Same Blue」の1番、いきなり青春っぽい言葉が連続していきます。
タイアップ先のアニメ「アオのハコ」が高校生を描いた漫画などになぞらえてか、この曲ではこの部分に限らず様々な場面で青春を彷彿とさせるような言葉がたくさん出てきます。
歌い出し、気持ちの整理ができていないさまを鞄に詰める荷物にたとえています。
鞄に荷物を詰めるといえば、学生時代を思い出す人も多いのではないでしょうか?
急いで荷物を詰め込んで散らかった様子で、「あなた」に対する気持ちの整理がつかない心情をたとえているのはうまいですね。
気持ちが整理できないまま、学校へ行く時間になってしまって焦る様子が鮮明にイメージできます。
続く「渡したい言葉なんて渡せないまま」という歌詞も凄くいいです!
あなたに言いたいことはたくさんある。でも何一つとしてあなたの前に行くと話すことができない。そんな青春時代の葛藤がリアルに表現されています。
1人の夜に中身を広げようとして 胸の奥がひりついてたまらなかった
好きな想いが あなたを好きという想いが
あまりにも嵩張ってたから
Official髭男dism, 『Same Blue』より
続いて時間帯は変わって夜。
中身というのは、朝に散らかっていて急いで詰め込んだ「あなたへの想い」でしょう。
そんなあなたへの想いを広げようとしたら、その想いが「あまりにも嵩張って」いて、「胸の奥がひりついてしまった」。
あなたへの想い強さ、多さを改めて実感するとその分だけ自身の葉がいなさやうまくいかない現状に胸が痛む。そんな経験がある人は多いはずです。
いろいろな人が心から共感できるような歌詞になっているように感じます。
そして注目したいのが、ここでも先ほどに続いて想いを荷物にたとえる喩えが使用されているという点です。
今紹介した歌詞の中でいうと、「中身を広げようとして」や「あまりにも嵩張っていたから」などは喩えが組み込まれた表現だと思います。
ヒゲダンの凄いところは、このような世界観にあった喩えを無理なく自然に入れてくるところです。歌詞の節々に喩えの表現を混ぜることで、「Same Blue」の世界観が作られて行っているように感じて、本当に脱帽です。
ではBメロに入っていきましょう!
1番Bメロ
近くて遠い日々に眩暈がした
落ち込んで浮かれての寒暖差に染められて増えていた
この重みを 絶対に離したくないと
胸は痛いくせに そう叫んでしまっていた
Official髭男dism, 『Same Blue』より
「近くて遠い日々」という表現、個人的に凄く刺さりました。
相手との距離が近いように感じることもあるし、遠いように感じるときもある。そんな不安定な心情を、またはそんな気持ちを感じる毎日を「近くて遠い日々」と表現しているのだと思います。
近くて遠いという一見矛盾のような表現ですが、凄く共感できるような表現になっていると思います!
「落ち込んで浮かれての寒暖差」も「近くて遠い」と同じようなニュアンスで使われています。
一喜一憂する若い人たちの恋愛模様をこのように比喩しているのだと思いますが、この表現もすごいですね…。気持ちの差を「寒暖差」という表現で表すのもまたおしゃれです。
青春の不安定な気持ちを寒暖差にたとえるのは、とてもぴったりの表現のように感じます。
また、「胸は痛いくせにそう叫んでしまっていた」という歌詞もいいですね。どれだけ「胸の奥がひりついて」いたり「胸が痛くなって」しまっても、それでもあなたを好きな気持ちは捨てたくないという心情を表現しているのだと思います。
1番サビ
春の中 あなたを見た 見惚れていた 夏模様の中で
移ろう街と逆に 青のまま募る心
秋の空 雪が混じった そのすべてがとても似合っていた
よそ見する暇もない忙しい世界を 走るように恋をしている
あなたという季節の中で
Official髭男dism, 『Same Blue』より
ここからはサビに入ります。
サビを聞いてもらったらわかると思うのですが、サビでは四季の移り変わりが歌詞に入れこまれています。
ここまで『Same Blue』では移り変わっていく恋愛の心情がテーマとして歌われてきました。
サビでは気持ちの移り変わりを季節の移り変わりにたとえています。これはBメロでも少し片鱗は見えていて、Bメロでは「寒暖差」というワードが登場したと思います。
落ち込んで浮かれての寒暖差に染められて
Official髭男dism, 『Same Blue』より
これが伏線のような形で、サビでは季節が歌われています。
春、夏、秋、冬のワードがテンポよく歌われることで、四季の移り変わりがどんどん進んでいく感じがします。これも目まぐるしく変わる青春の恋模様を表現しているのかもしれません。
「移ろう街と逆に青のまま募る心」というのは、街は移り変わっていっても恋心は青のままずっと募っている様子を表しているように思います。
どれだけ季節が移ろっても、あなたを思う気持ちだけは移ろわない。そんな様子がイメージ出来て、THE青春といった感じがしてとてもいいです!
「走るように恋をしている」という表現も、目まぐるしく進んでいく青春の恋模様の躍動感が感じられます。
最後の「あなたという季節の中で」という表現は面白いですね。
あなたの行動、言動、様子一つで動揺してしまう心の様子を、「あなたという季節の中にいる」とたとえたのではないでしょうか。
季節という一貫したテーマの中で各所に青春を感じる表現を入れこめるヒゲダンは本当にさすがですね。
青春は必ずしも「春」だけではない!
また、ここからは私の勝手な解釈なのですが、サビで四季を登場させたのにはヒゲダンからの隠れたメッセージがあるように感じます。
「青春」というとどうしても漢字からも読めるように「春」や「初夏」といったイメージがついていると思います。
実際、青春っぽい曲というとどうしても春や夏序盤っぽい曲になることが多いですよね。ですが、本当にそうなのでしょうか?
春や夏のような輝いてキラキラしている青春だけではなく、秋のような落ちついた青春や冬のような静かな青春もありなのではないか。キラキラしているだけが、輝いているだけが青春なわけではないのではないか。そんな気持ちに、この曲を聴いて思いました。
2番Aメロ
足りないものを少しでも減らそうとして
力んで余計にいくつも増えたりして
やっぱり僕じゃあなたを好きな僕じゃ 釣り合いたがる資格もないよなあ
Official髭男dism, 『Same Blue』より
2番も共感できる歌詞が続きます。
「足りないものを減らそうとして」、「力んで増えたりして」という経験はあるあるなのではないでしょうか。
いい自分を見せようとした結果、結局ダメな自分をさらすだけになってしまうなんてこと、よくあると思います。
こんな自分では「釣り合いたがる資格」なんてないのか…と悲観的になってしまうこともあるでしょう。
そんな歌詞の後で、1番とは違ったDメロが登場します。
Dメロ
あれだけ用意した伝えたかったこと 色んな自分に邪魔をされた
鞄の中で揺れ 拗れてさらに膨れ
傷跡にさえなれずに 隠し持った想いたちが
溢れることを選んだ日は ちゃんと届けたい
あなたの心の中へ
Official髭男dism, 『Same Blue』より
いきなり登場したDメロ。
超高音の音程の歌詞となっていて、雰囲気が一転しています。
言いたかったことが「いろんな自分に邪魔をされた」というのは、言おうとしたこと、伝えようとしたことが
- こんなこと言ったら変に思われるのでは?
- こんな自分で本当に大丈夫なのか?
- いまではない気がする
のような感情に邪魔をされたということを表しているのでしょう。
恋愛にかかわらず、こういったことはよくあるので凄く共感しました。
みなさんも共感される方は多いのではないでしょうか?
そしてこのDメロの最後がまたいいんです!
傷跡にさえなれずに 隠し持った想いたちが
溢れることを選んだ日は ちゃんと届けたい
あなたの心の中へ
Official髭男dism, 『Same Blue』より
この歌詞、凄くないですか?
「隠し持った想いたちがあふれることを選んだ日」には「ちゃんと届けたい」。
つまり今までずっと伝えられなかった想いが”自然と”あふれそうになったら、あなたにちゃんと届けたい。という意味ではないかと思います。
自分が自分がと独りよがりに伝えるのではなく、あふれることを選んだ時に取り繕わずちゃんと伝えたい。
そんな純情さが想起されて凄く好きな部分です。
2番サビ&ラスサビ
春の中 あなたを見た 見とれていた 夏模様の中で
移ろう街と逆に 青のまま募る心
秋の空 雪が混じった そのすべてがとても似合っていた
よそ見する暇もない忙しい世界を 走るように恋をしている
Official髭男dism, 『Same Blue』より
青のまま濁って澄んで 大きな未熟さを背負って
明日も息を切らしたい あなたの居る目まぐるしい世界で
あなたという季節の中で
Official髭男dism, 『Same Blue』より
Dメロを挟んで、もう一度1番と同じサビが繰り返されます。
同じ歌詞ですが、Dメロの決意を聴くと少し聴こえ方が違うように感じるのがまた面白いですね。
そして最後はラスサビとして歌詞が続いています。
「青のまま濁って澄んで」という歌詞も深いですね。
青というと澄んでいる青を想像しがちですが、濁っている青だってあります。
青春も同じで、澄んだ青のような青春もあれば濁って青のような青春のときだってある。でもそれもひっくるめてみんな同じ青=Same Blueなのではないか。
そんなメッセージが込められているように感じます。
「明日も息を切らしたい」というのは、目まぐるしく移ろう気持ちすら楽しんで、あなたに振り回されていたいといった気持ちの表れなのではないでしょうか?
これぞ青春という感じがしていいですね。
そしてにサビと同じく「あなたという季節の中で」という歌詞でこの曲は終わりです。最後まで青春を感じさせられる歌詞でした!
「青春」をたくさん感じられる爽やかな一曲
今回はヒゲダンの「Sama Blue」という曲の歌詞を解釈してきました。青春を感じられる爽やかな歌詞が特徴的で、何度でも聞いていられそうです。
変拍子などよく聴くと突飛なことをしているのに、王道のように聴こえるのはヒゲダンマジックですね。みなさんもぜひこの解釈を読み終えた後にもう一度聞いてみてください!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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