こんにちは。
今回は薬屋のひとりごと1期第2クールのオープニング主題歌となっているUruさんの『アンビバレント』という曲の歌詞やMVについて私なりの解釈をご紹介していこうと思います。
薬屋のひとりごとの世界観をしっかり取り入れてあって、アニメ主題歌としてピッタリな一曲でありながら、アニメにかかわらず万人に伝わるメッセージも内包されているこの『アンビバレント』。
出来る限りその真髄に迫っていこうと思います。
曲名『アンビバレント』
まずは曲名となっている『アンビバレント』について考察していきます。
アンビバレントとは英語では”Ambivalent”と書き「両義的、相反する感情、あいまいさ」といった意味です。
複数、とりわけ正反対の意味や感情が存在するあいまいさをあらわす単語です。
今回この曲名にした理由は何なのでしょうか?
私は、この曲中で憧れの人と自分の正反対さ、または理想と現実のギャップを表しているのではないかと思います。
歌詞の中で何度も「僕」と「君」が対比される部分があります。
またこの曲のミュージックビデオの中でも、青い球体が輝いているものからいきなり恐怖に満ちたものになるなど、正反対さを表現している箇所がたくさんあります。
ぜひ相反する、正反対という意味が込められていると意識しながら曲を聞いてみてもらいたいです。
正反対な「僕」と「君」
歌詞の内容について考察をしていこうと思います。
この曲でキーとなるのは対比です。
曲名にもアンビバレントとあるように、アンビバレントな状況が歌詞の中にもたくさん出てきます。
特に、曲中の「僕」と「君」がとても対比されているので、その箇所をご紹介していこうと思います。
自由奔放な「君」と型にハマった「僕」
いつだって君は恐れを知らず
好きなものに夢中な猫みたい
Uru, アンビバレントより
酸いも甘いも知ってるフリをして
型にハマった窮屈な日々の中
Uru, アンビバレントより
上の歌詞が1番、下の歌詞が2番のものとなっています。
「僕」と「君」がわかりやすく対比されています。
「君」は恐れ知らずで好きなものに夢中な存在。
それに対して「僕」は型にハマった窮屈な状態。
おそらく「君」は自分の好きなことにのめりこみ、周りが見えなくなるくらい直進していけるようなまっすぐな人なのでしょう。
一方の「僕」は世の中や自分の中の常識からはみ出すことができず、普通のことしかできず突っ走れない。
そんな「僕」だからこそ、それと正反対な「君」に惹かれていいたのかもしれません。
経験を積むほどに、失敗を恐れて挑戦できないことってよくあると思います。
そんな時に失敗にも構わずに新しいことに挑戦していく人を見ると、とても刺激的に感じますよね。
「僕」も同じような感情を持ったのではないでしょうか。
曲中の「僕」の心情変化
続いては「僕」の心情変化について軽く考察していこうと思います。
1番、2番、ラストというように主人公の「僕」の心情がちょっとずつ変化していて、それもこの楽曲の魅力のように感じます。
ひとつずつ見ていこうと思います。
1番 憧れを追いかける僕
君が眩しく感じるのは僕が君を見ていたから
Uru, アンビバレントより
碧い、碧い、その瞳に僕はまだ映らない
Uru, アンビバレントより
1番では憧れの姿を追う「僕」の姿を描いています。
「君」をずっと見ている描写があり、憧れに追いつこうとしている様子が読み取れます。
「僕はまだ映らない」というニュアンスから、まだ憧れの人の眼中にはないけど、いつか追いつけるように頑張ろうといった気持ちを読み取ることができます。
憧れの人をまだ追っているだけだが、いつか追いつけるという希望溢れる気持ちが1番です。
2番 追いつけなくて痛む気持ち
碧い、碧い、その瞳は僕をまだ映さない
Uru, アンビバレントより
混ざりあわない二人の距離 痛むのは僕だけ
Uru, アンビバレントより
2番では一向に追いつけなくてネガティブな感情が露出し始めます。
「まだ映らない」から「まだ映さない」と表現を変えることで、なんでまだ映してくれないんだという少し苛立ちのような感情が感じられます。
映ってもいいはずなのに映らない現実を受け入れられていない「僕」の気持ちを読み取ることができると思います。
そして最後には直接的に「痛む」という表現が使われています。
憧れを追いかけているうちに、追いつけないことに薄々気づき始めて嫌になっている僕の姿が2番で書かれています。
Dメロ 憧れのおかげで頑張れていることに気付く
君ならどうするかな、なんて思ったり
Uru, アンビバレントより
もう少しやってみようなんてさ
Uru, アンビバレントより
憧れのおかげで今まで頑張れてこれたことに気づく「僕」。
つらい時でも「君ならどうするかな」と思って頑張れていた事に気付きます。
憧れに追いつけなくても、憧れという存在がいるだけで自分の原動力になっていること、よくあるのではないでしょうか。
「僕」もそれに気づいたようです。
大サビ 追いつける追いつけないではない、笑っていてほしい
君はいつも笑っていてほしい
Uru, アンビバレントより
僕はいつだって きっとそのままの君が好きなんだ
Uru, アンビバレントより
「君」の存在自体が心の支えになっていたことに気づいた「僕」。
追いつけるか追いつけないかではなく、憧れがいる、それだけで十分だ。
「君」がそのままの姿で笑ってくれていればそれでいい。
こうして心の葛藤を乗り越えます。
そもそも憧れのようになれるかどうか、追いつけるかどうかというものはそれほど大切ではないです。
その憧れとは違った自分を憧れてくれる人もいるでしょう。
「そのままの君が好きなんだ」というフレーズはそのまま「僕」に対しても当てはまる歌詞のように感じます。
こうして主人公である「僕」は前向きな気持ちになっていって楽曲は終わります。
ミュージックビデオが表すアンビバレント
ここまで歌詞的なアンビバレントについて考察してきました。
そして、この『アンビバレント』が先行配信されると同時に當間あみさん主演となるミュージックビデオも公開されました。
このMVはまた少し違ったアンビバレントを表現しているので、こちらについても考察していこうと思います。
過去の自分と今の自分の対比
このMVは過去の自分と今の自分の対比をしているのだと思います。
白い衣装をまとった主人公が今の自分、制服姿のほうが昔の自分なのではないでしょうか。
過去の主人公は自分の夢を明確に持ち、それに向かってまっすぐに進んでいる様子が見られます。
それに対して今の主人公はどこかそれに対して迷いを覚えているように思えます。
色々なことを経験して、そのせいでただまっすぐ突き進むことができなくなってしまったのではないでしょうか。
MVの箱は何を表している?
MVの中では何度も碧い箱が出てきて、そこを主人公が入ったり出たりを繰り返しながら映像が進んでいきます。
MVに何度も登場する碧い箱は、いわば挑戦せずに型にハマった生活をすることを表しているのではないでしょうか。
箱の中にいるときは型にハマった事しかしていなく、歌詞でいうと「僕」のような状態。
一方で箱から出れば「君」のように自由に羽ばたいているような状態を表しているように私は感じます。
青い球体は何?
箱と同じく青い球体もずっとMV中に出てきます。
この球体は主人公が思い描いている夢を表しているのだという風に私は思います。
1番ではその夢に向かって走っていく主人公の姿が描かれています。
逆に2番の部分ではその夢に追いかけられている主人公が描かれています。
夢は時に大きな重荷になることがあります。
大きな夢を持っていればいるほど、その夢がかないそうにないと感じると絶望感に襲われます。
夢に及ばない自分を責めたくなる気持ちも芽生えます。
そのような状態を2番のMVで表現しているのではないでしょうか。
アニメ「薬屋のひとりごと」目線での解釈
最後にアニメ「薬屋のひとりごと」の視点から簡単にこの曲を見ていきたいと思います。
聴けば一瞬でわかるかもしれませんが、第一クールと同様にこの歌詞も壬氏目線の歌詞となっています。
アニメの視点からこの曲を聴くと、毒や薬に夢中な猫猫に片思いする壬氏の心情を綴った曲のようにとらえることができます。
また歌詞の中にも「好きなものに夢中な猫みたいで」や「碧い、碧い、その瞳」といった猫猫を連想させる言葉も出てきます。
さらに言うと、この「碧い、碧い」はダブルミーニングだと思っています。
アニメでは確かに猫猫の目が青くなっていますが、実は猫猫の声優さんは「悠木碧」さんという方なのです!
どちらかというとこの「碧」を意識して作ったのではないかと私は思っています。
歌詞の節々にアニメを感じさせるフレーズが入っているのは、アニメソングならではの面白さです。
アニメとの関連も考えながら聴いてみるのも楽しいと思います。
聴く人によって解釈が変わる『アンビバレント』
今回はUruさんの『アンビバレント』という曲について解説をしてきました。
憧れは本当に人によって異なるので、この曲を聞いて浮かべる景色も解釈も人によって大きく違うような気がします。
ぜひこの私の解釈にとどまらず、様々な角度からこの曲を楽しんでみてください!